MESSAGE

メッセージ

「昔のやり方が通用しない」という大変革時代の今をチャンスと捉え、新たな仕組みづくりに挑戦してほしい。

代表取締役社長

葉山 裕HIROSHI HAYAMA

食品卸と括られがちですが、他の食品卸との違いについて教えてください。
「食品卸売業」と聞くと、一般的には「すでに出来上がっている製品を量販店や問屋に卸す」というイメージを持たれるかもしれません。しかし、我々は、製品に使われる「原材料」を自社独自のルートで国内外から調達し、販売するというさらに川上の役目を担っています。お客さまとなるのは、「食」に関わるすべての業界。「こんな原料があったら欲しいな」「こんな物を見つけてこられないかな?」といった要望を形にするために、自社で培ってきた情報や人脈を武器に探し出し、付加価値を添えて提案する…というのが、東海澱粉のビジネススタイルです。
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競合他社(食品卸)と東海澱粉の違い、また仕事の違いとは?
国内外に強固なネットワークが存在することは、他社との差別化になっているのではないでしょうか。東海澱粉の拠点数は、子会社やグループ会社も合わせると国内外に109拠点存在します。当社と同等の規模の食品原材料を扱う会社としては、群を抜いていると思います。特に特徴的なのが、日本国内の各都道府県のほぼすべてに1箇所以上の拠点が存在すること。他社の場合、東京・大阪を中心に、地方の客先には出張で訪問するというのが主流ですが、当社は地域に根ざし、地元企業とのお取引を長年続けてきました。そのため、コロナ禍においても競合を差し置いて対面+リモートでのハイブリッドな営業活動を継続することができたのです。
また、海外については、特にアジア圏内の原材料の調達が我々の得意分野です。特に、中国において、現地の食品業界では東海澱粉を知らない会社はまずないと言っても過言ではないほどの認知度があります。近年では、アメリカ、EUの展開にも広がっています。
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食品業界や食品卸業界の現状・課題や、これから出てくるであろう課題について教えてください。
食を取り巻く環境は刻一刻と変化していきますが、特に重大なのは「食の多様化」「流通系列化」「地球環境の変化に伴う原料事情」の3点です。
「食の多様化」については、近年でいえばコロナ禍において食のあり方に大きな変化がありました。我々は内食、中食、外食、宅配、通販など、あらゆる食品に関わっていますが、コロナ前はコンビニ業界の売上が断トツで伸びていましたが、コロナ後はスーパーマーケットなどの量販店が大幅に伸びました。他にも外食やお土産も苦戦しています。今後、以前と全く変わらない状況になるということは無いでしょうから、食品業界も新しい形になっていくでしょう。宅配の需要も増えていますし、全部一から作るのではなくある程度やって最後にひと手間だけ加えるような惣菜が増えていく動きも出てきています。消費者のニーズや考え方は常に変わっていきますから、食品業界も、我々も、もっとニーズを掘り下げ、柔軟に対応していかなければなりません。
次に、「流通系列化」について。流通系列化とは、メーカーが卸売業者や小売業者など流通業者に関係の強化を求め、優位性を獲得するために組織化することをいいます。近年、業界においてはこの動きが活発になっているため、競争力の弱い組織は淘汰されていくだろうといううねりを感じています。
最後に、「地球環境の変化に伴う原料事情」。気温や水温が年々世界規模で上昇し続けています。その結果、例えば北海道で獲れるはずのなかった魚が獲れたり、逆に獲れなくなったり、農作物の産地が変わったり…といったことが起きています。さらに、天候不順で洪水などの大規模災害が起きると、原料の奪い合いが始まり、他国の同業者が乗り込んできて買い負けをするということも。そうなると、今までとは違う産地の原料を調達することはできても、価格が変わってしまう。すると、私たちのお客様でも大きな影響が出てしまいます。そういった厳しい環境で戦っていかなければならないのが課題ですね。
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食品業界課題に対しての東海澱粉の役割(ミッション)はありますか?
食の安定供給と安全安心を東海澱粉が守り続けていくこと。それが、我々のミッションです。そのために必要なことのひとつが、新たな産地の開拓です。先ほどお伝えしたように、食品業界は地球環境の変化によって大きく左右されます。そんな時、「原料がないので調達できません」ではなく「今まではアメリカ産でしたが、同じ原料がフランスにもありますよ」「この原料には産地によってそれぞれこんな特徴がありますよ」というように、お客様にさまざまな選択肢を提示できる立場であり続けなければならないと考えています。
私が社員によく伝えているのは、「私たちの生業は、食のプロデュース&コンサルタント」だということです。「その考えならこういう原材料があります」「この素材に使うなら、こんな使い方がありますよ」と、素材をもっと活かす術をご提案する。お客さまの製品のイメージを聞きながら、アドバイスをする。そして、我々が商談した原料が、世の中にお客様の商品として形を変えてデビューする。その一連の流れに関わることができるというのは、営業冥利に尽きることですよね。
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現在の東海澱粉の特徴、強さはどんなところでしょうか?
よく大手のお客様に聞かれるんですよ。「東海澱粉は何が強いですか?強い商材を持ってきて」と。しかし、我々はメーカーではないので、商品力を強みにするのは自己満足になってしまうのではないかと私は思っています。東海澱粉の本当の強さは、商材ではなく「お客様の課題を掘り下げ解決する力」や「営業力」だと思います。その背景には、東海澱粉が今まで蓄積し続けてきたバックデータがあります。創業以来培ってきた人脈や、数え切れないほどの失敗や、経験値。これらのデータを活かすのは、やはり個々の営業力あってこそです。 当社の営業には、決まったマニュアルはありません。型にはまらないからこそ、個性的な社員が数多く在籍しています。お客様との宴席での場を盛り上げて懐に入り込むのが得意な社員もいれば、控えめだけど気遣い上手な新人が指名されたりもする。それぞれが個性を生かしながら、お客様からご指名で引き合いをいただける営業力を磨き続けています。
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これから求められる食の安全性や、これに対しての東海澱粉の取り組みや意思について
東海澱粉は2007年から、食の安全性に関して力を入れて取り組んできました。社内に品質保証部を新たに設け、調達する商材の付加価値として「安全安心」を提供してきたのです。海外のサプライヤーの元へ赴き、安全面での監査基準をクリアしているかをくまなくチェックした上で、お客様に原材料をお届けしています。
しかし、監査基準はお客様によってそれぞれ全く異なるため、より確かな安全安心を提供するために社員数名が国際規格「FSSC22000(食品安全システム認証)」の監査人資格を取得しました。それが、我々の武器のひとつとなっています。有資格者はこれからもさらに増やしていきます。
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就活生に向けてメッセージをお願いします。
「本当に自分がやってみたいことや、トライしてみたい仕事にチャレンジできるかどうか」を大切にしてください。「有名企業だから」といった会社のイメージだけで何となく選んだらダメ。実際に働いている先輩たちが、仕事を通じて何に喜びを感じているのか。何をしたときに「この仕事をやっていてよかった」と感じているのか。そこを知るのが重要です。モチベーションが高まらない仕事なんて、どれだけ給料がもらえても長くは続きません。 選考を希望する会社には、先輩社員と話す場を用意してもらい、仕事の経験談を聞いてみると良いと思います。上手くいった話だけではなく、苦労話も聞いて、その上で自分でやってみたいかどうかを判断してください。
当社でも、きれいごとではない泥臭い話や大失敗したときの談、先輩から叱られた話など、「東海澱粉の本当の仕事」を、あえて今まで以上に伝えていきたいと思っています。その上で、東海澱粉を選んでもらえたら嬉しいですね。
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